雪の話③
昨日の続きです。
そうして急遽“敵”と化した雪との闘いが始まったわけですが、その戦いは容易ではありませんでした。
普段であれば歩きやすいようにちょっとどかしたり、端に寄せるだけで良かったのですが“車の通れる道を作る”となるとそう簡単にはいきません。
未知のど真ん中にある雪を大きなシャベルで掻き出し、道に干渉しないような遠くまでで運ばなくてはなりません。
巨大な雪塊となればその重さも中々のもので一回運ぶだけでもかなりの労力を要します。
それを何回もとなれば自ずと手足が言うことを聞かなくなってきます。
しかし、休んだところで雪は減りません。
減らないどころか日光により溶けて水っぽくなることでますます重さが増していきます。
そして何より辛いのが空腹です。
大雪が降ったその日に偶然にも買い出しに行く予定だった我が家には食料が無く、どれだけ労働をしてお腹が空いてもエネルギー源である食事をとることが出来ないのです。
そうして飢餓と疲弊の中一家総出で行われた雪かき大会は夜の10時まで続きました。
日が落ちだしたころから作業の中断は検討されたのですが、日を跨ぐことで雪が溶け、氷になってしまってはそれこそ取り返しがつかないことと、何より中断したところで食糧問題は解決しないことから結局その日中に最後までやることになったんですよね。
そして何とか車が通れるだけの道を作り、無事整備された公道へと出られるようになった著者一行は近くの(と言っても車で10数分)コンビニへ直行。
重労働にも関わらず昼から何も食べていない体に放り込む食料を買い込もうとしましたが、我々の様に食料に困っていた家庭は多かったようで、22時過ぎにはロクな食料は残っておらず、缶詰やレトルト食品など文字通り“非常食”を買い込む羽目になりました。
結局その疲れで次の日は一日熟睡。
翌々日以降は雪も溶け今まで通りの生活ができるようになり、週末の大騒ぎが嘘のように学校へと通うこととなりました。
そんな命からがらの体験をして以降は雪が降っても何も思わないどころか、むしろ“あの日”の辛さを思い出すようになり、その結果子どもにして雪を喜ばない私が誕生したというわけです。
長くなりましたが以上が私が雪を嫌いになった経緯になります。
今年もあの日のような大雪が降らないことを祈っています。