情けない話
私の会社の近くにはやや大きめの商業施設があります。
そこには自身も利用するようなお店が何軒か入っており、仕事終わりに立ち寄ることが出来るため大変便利なのですが、その施設には一つ難点があるんですよね。
それはお手洗いが施設内に一ヶ所しかないということです。
もちろん私も人間ですので、施設内で催すことは当然あります。
となれば必然、施設にあるその唯一のトイレを利用するわけですが、何とそのトイレには同施設内にある楽器屋の中を通らないとたどり着くことが出来ないんですよね。
この“トイレのためだけに楽器屋を通る”という避けられないミッションが私は大の苦手で、「楽器屋の店員さんに“ただトイレを使うだけの人”とは思われたくない」という謎の葛藤があります。
そのため、店内にある楽器を眺めてみたり、店内で流れている音楽にちょっとノってみたり、買いもしない楽譜や教本を手に取ろうとしてみたりと、あくまで“楽器屋に来たついでにトイレに寄った人”を演じてしまいます。
実際店員さんはトイレの通り道にされていることに慣れているので、上に書いたような私の行動は一切意味がなく、私自身もそれは理解しているのですが、謎のプライドを取り払うことはできず、そんな挙動不審な行動を今でも続けてしまいます。
そんな情けない人間の話でした。